最近のニュースについてボヤく4:「人の噂は攻撃有利」
- k2load
- 2016年10月7日
- 読了時間: 3分
第4回です。ニコニコニュースでちょっとした話題になっていた記事について。
「爬虫類を触ってる人がいる店には行けない」と苦情⇒ バイトをクビになる… http://news.nicovideo.jp/watch/nw2431485

●どこにボヤこうか
このクレーム内容自体が問題とは思わない。「自分のケツを拭いたことがある手で俺に寿司を握ったのか」と板前さんに詰め寄る人間がいたら、私は黄色い救急車を呼ぶ。それは冗談として、この手のクレームというものは議論するに値しない。なぜならその内容は、論理的妥当性を欠き不合理である…要するに頭がおかしいからである(笑)。
では何を議論するか?それは「人の噂は攻撃有利」という原則についてである。
●ある事件
1973年。愛知県豊川市。ある女子高生たちが、電車の中で会話をしていた。「信用金庫は危ないらしいよ」。この一言が、後に20億円もの預金が豊川信用金庫から引き出されるという取り付け騒ぎを引き起こすのだ。詳しくは豊川信用金庫事件でググっていただきたいが、これはデマの発生原因が突き止められた稀有な例である。
●悪意のない攻撃、そして防御
このような噂というものは、一切の悪意がないところが最も恐ろしい。悪意がない、つまり「豊川信用金庫を潰してやろう」だとか「あのタレントを鬱病にしてやろう」だとか「爬虫類好きの狂人がいるあの店を潰してしまおう」だとかを企図して行われることは通常ありえないというところである。
そして、この噂というものは、、それが存在すること自体が脅威なのである。つまり「爬虫類好きの人間が店員をやっているんだって!」という噂が、店の売上に影響を及ぼす「かもしれない」という経営側の過剰反応的予測を引き出す、ということまでが噂の効用なのである。これが引き起こした防御行動は、一見すると不合理であるが、そもそも噂という事象の成立そのものが不合理なのであり、さして異常とも思われない。
●「思い込み」の破壊力
とにかく、このように何の根拠もない事柄を事実だと思い込むことは、大半の場合事実そのものよりも絶対的な"真実"として破壊力を帯びる。一般的な人々は事実の精度を確認するよりも、"真実"の証拠を見つけたがる。「この人は気に入らない」と思ったら、なぜ自分がそう思ってしまうのかという原因ではなく、そう思うに足る証拠を探すのだ。だから「爬虫類を触っているから」などというとんでもない理由が出てきたりもする。しかし、言っている本人は大真面目である。自分の不快の証拠なのだから。
●発生することはあっても、鎮圧させることは基本不可能
血液型占い、血液型性格診断は、何の科学的根拠もない。にも関わらず、日本では未だに「当たり前の知識」として流布している。血液型占いに限らず、占いというものは「妥当性がある」と信じられている。別にそれを批判するわけではないが、これを「思い込み」、すなわち噂という概念のカテゴリーの一部とも言えるだろう。要するに何が言いたいのかというと、論理的に全く合理的ではないにも関わらずそれを信じ切っている人間に立ち向かうのは勇気がいる、ということである。
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